Cocktail Short Stories | ジントニックが最高に美味い時

 

 

「おぎゃー!!!」

 

やっと聴こえた産声!

10時間の末の我が子の声。

サチと僕の待望の第一子。

 

サチの妊娠が発覚してから、とてつもなく長く感じた日々。

今まで僕は、歳なんてものはとりたくなかった。

もっともっと時間が欲しかったし、刹那的に過ぎて行く時間が惜しかった。

でも、チビがサチのお腹に居る事を知ってから、生まれて初めてもっと早く時間が過ぎて欲しいと願った。

 

そして今ここにチビが居る。サチも元気で良かった。

しわくちゃの顔。小さな手足。

やっと会えたな。待ってたぞ。ありがとうな。

 

病院を後にして、家に戻る。

「明日の面会時間まで早く時間が過ぎないかな」

そう願いながら静かなキッチンでジントニックをいつもより軽くステアする。

 

(C) Hiroki Nagasawa all Rights Reserved

 

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