Creative CHECK | Flash Mob演出についての考察

blacktie

ちょっと長いですが、僕が個人的に好きなニューヨークイタズラ集団、Improv Everywhere の「Black Tie Beach」を見てFlash Mobと今後の広告ミュニケーションの関係で感じることがあったので記しておきます。(あくまでも個人的な解釈です)

 

フォーマルウェアとされる「Black Tie」のドレスコードを着た集団がビーチで当たり前のように遊んでいたら、水着姿で海に遊びに来ている人たちはどのような反応を示すのか?そんな実験映像をこちらから見る事ができます。

Improv Everywhereが昔から行ってきたこれら「集団イタズラ」は、最近の広告コミュニケーションで言う「Flash Mob」手法の原点として捉えることができます。Flash Mobの本質は本来そこに「有る」べきものが「無い」、またはそこに「無い」はずのモノが「有る」ことから人間の中に生まれる「戸惑い」です。これらの ある・ない「べき」物事と出くわすことで再認識する固定観念の崩壊が物事の捉え方を面白くします。

固定観念とは、そもそもが人間にインプリントされた「幻想」です。それ故に一瞬で崩壊する可能性をも秘めています。この価値観の崩壊するかしないかの瀬戸際にこそ、これからのコミュニケーションデザインのヒントが隠されているのかもしれない、と思ったりする訳です。

と、前置きが長くなってしまいましたが、「Black Tie」から人間の行動心理を分析すると以下のような解釈ができると考えます。

人間の心理として、自分を囲むこれら「違和感」のある人間が多ければ多いほど自分がマイノリティーなのではないか?そもそも自分がおかしいのでないか?と自問自答します。勇気のある人は自分に違和感を与えるその本人に直接質問をしますが、大抵の場合、違和感を正すためにそこに居る「同じ容姿」をした人間に問いかけます。自分にとって理解できる適切な解答がそこで得られない場合は、引き続き傍観者として観察するかその場から逃げ出します。しかしながら、腑に落ちる的確な解答を得る事ができると、今までインプリントされてきた「○○であるべき」論が崩壊します。これが所謂「膝ポン(合点・理解)」演出となります。この「膝ポン」は一種の気付きですので、人間の脳の長期記憶に保管されます。だからこそ、従来のコミュニケーションでは、この「膝ポン」を追求したキャッチコピーや演出がもてはやされてきた訳なのです。言い換えると、記憶に残り易いがために評価もされ易かったのです。しかしながら、これも徐々に変わりつつあります。

最近では、自分が一見マイノリティ的な立場に置かれたとしても、その場で写真を撮りソーシャルに投稿、他の反応を待ちつつ自分が正しいことを再確認することが可能になりました。ここが現代と過去でのコミュニケーションに大きな違いを生み出しているのだと考えます。今も過去も、人間のインサイトを知る事の重要性は変わりませんが、このような個々の情報解釈の環境が整うと、「膝ポン」演出の重要性よりむしろ「害のない(愛のある)違和感」を与えることの方が価値を生み出す事に繋がって行きます。「愛のある違和感」を周囲に拡散&確認させるコミュニケーションをデザインを設計することの方が(YouTube等の再生回数などの)数字的な効果を立証しやすいくなってきたとも言えます。

このようにデバイスやソーシャル普及の背景に後押しされ、企業のCIを訴求する一つの方法としては、今後もFlash Mob手法は広がりを見せるていくと考える訳です。

 


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