内藤誼人の「秋元康の発想は、なぜ人の心に「刺さる」のか?」

On 2013/12/02

秋元康の発想

内藤誼人の「秋元康の発想は、なぜ人の心に「刺さる」のか?」を読みました。

読み始めて知ったのですが、作者は秋元康に一度も会わずに、この本を書いているのですね。なるほど、こういう本の作り方もあるのか、とちょっと関心してしまいました。ということでメモを読んで興味が湧いた人は、手に取って読んでくださいね。

以下、自分の中で「引っかかり」のあった言葉のメモです:

「予定調和」を避けることの意味

「30歳までに、どうしても結婚しなければならない」「もっと好かれなければならない」と、ものごとに対して「〜ねばならない」という考えを持ち込んだ瞬間に、それがストレスを生み出す原因になる。これを心理学では「ねばならぬ思考」と呼んでいる。

ペンシルベニア州立大学のアリシア・グランディは、秘書やウェイトレスなど日常的に「笑顔を見せなければならない」という義務を負った人たちについて調査し、彼らが仕事に対して大きなストレスを感じていることを突き止めた。

(中略)秋元さんも「ねばならぬ思考」をやめたほうがいいとアドバイスしている。(中略)仕事はいいかげんでいいのである。

目標を立てるときも柔軟性を持って、「もしこうできればいいんだけど、できなかったら、それはそれでしかたない」と潔くあきらめることも必要である。

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仕事はクリエイティブに考えるとうまくいく

企画力というのは、常識的に行なわれていることとは違う視点でものごとを見つめることである。「いままでは漫然とこうやっていたけど、じつはもっと違うやり方があるんじゃないかな?」と考えながら仕事することが、企画力を養うトレーニングになる。実際に心理学で行なわれている想像力を測定するテストでは、従来の道具(鉛筆とかレンガ、古新聞など)の違った使い方を考えさせるというものがある。頭を柔軟にして普通の人がやらないようなことをすることが想像力であり、企画力なのだ。

お茶汲みであろうが、コピー取りであろうが、便所掃除だろうが、御用聞きだろうが、いままでのやり方を疑ってかかれば、いくらでも改善すべき点が見つかるはずである。

頼まれたことだけ、言われたことだけをやっているうちは、まだ半人前。
その道のプロになりたいのなら、自分なりに考えて、頼まれてもいないことを率先してやれるようにならなければならない。

経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんは、若いころに電灯の修理を頼まれると、ついでにいろいろなところを修理して帰ったという。お金はもらえないが、頼まれていないことを喜んでやってあげることで、商売でいちばん大事な信用を得たのだ。

漫然とルーティーンワークをくり返しているだけではダメである。
いつでも「カイゼン」する心構えがあれば、自然と企画力は高まるし、そういう企画力は、どんな業界のどんな部署の人にとっても必要な力なのだ。

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ヒットは「組み合わせ」から生まれる

「まったくすべてが新しい、斬新なアイディアを出そう!」などと意気込むと、かえってアイディアは出なくなる。そうではなくて、すでにあるアイディアをいくつか組み合わせて、それをヒントに新しいものを考えるようにするのがいい。

「ヒットは何もないところから生まれてくるわけではありません。新しい組み合わせによって生まれて来るといえます。」

新しい企画を立てたり、新しいプランをつくったりするときには、適当なアイディアを二つ組み合わせて、そこから何かをつくれないかを考えるとうまくいく。(中略)「グルメ」と「格闘技」というまったく異質なアイディアを二つ組み合わせて「料理の鉄人」というテレビ番組がうまれたのだそうである。

新しい企画をぽんぽん生み出せるようなアイディアマンになりたいのなら、適当な言葉をカードにして、そのなかから二つのカードを抜き出し、その二つのアイディアから新しいアイディアを出すトレーニングをするといいだろう。

秋元さんが手がけた楽曲のタイトルも、組み合わせの魔術でファンの心をぐっとひきつけるものが多い。(中略)「波乗りかき氷」「意気地なしマスカレード」「大人ジェリービーンズ」「希望山脈」。

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「編集」が最強の発想術である

きらめくような歌詞が踊る表現をどのようにして生み出しているのか、非常に興味があるところだ。しかし、結論を先にいってしまうと、どうもかなりいいかげんで、デタラメな作り方らしい。

「企業秘密を先に教えちゃうと、まずデタラメに作る。デタラメに出した単語を今度は適当にならべるんですよ。そうするとなかに光るフレーズがあったりする。」

映画界の巨匠・黒澤明監督は、自分の気に入ったシーンからデタラメに撮影していき、最後にそれをうまく編集するというやり方をしていたそうである。(松岡正剛「知の編集工学」)

黒澤監督は「映画の本質は編集である」という言葉を残しているが、秋元さんがやっている作詞の方法も、まさに「単語の編集」だと言えるだろう。

いい文書など書こうとせず、適当に、デタラメに自分が考えていることを順番につづっていくろ、意外にもいい文書ができあがる。永井荷風の「断腸亭日乗」がそうやって生まれたという話は有名である。

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目標は毎日アップデート(すること)

人は成長するし、環境も変わる。例えば作詞家になりたいと頑張ってきたけれど、ある時「自分がなりたいのは翻訳家だ」と気付いたとする。前より成長した自分が思うのだから、柔軟に目標を変えるべきだ。例え方向転換しても、今までの努力は必ず役に立ちます。(中略)

人生の目標もそうだ。「ちょっと、この道は違うんじゃないか」と思うなのなら、そこで方向転換することをためらってはならない。

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幕の内弁当になってはいけない

自分を売り込むときには、アピールポイントを絞ったほうがいい。そのほうが相手にあたえる印象はより強烈になるからだ。お弁当で言えば、「なんでも入っています」という幕の内弁当ではなく、「お魚も野菜もありませんが、ボリュームのあるステーキが入っていますよ」というステーキ弁当のほうがいいわけである。

アピールポイントというのは、その数が増えれば増えるほど、かえって印象がぼやけてしまう傾向がある。

ドイツにあるハイデルベルグ大学のマイケル・ワンクは、BMWの広告を見せるとき、「操作性もよく、燃費にも優れ、デザインも優秀で・・・」という10個もアピールポイントが載せられているものより、1個だけのアピールポイントに絞った広告のほうが、その広告を見た人のウケが良くなることを確認している。

自己アピールがうまい人は、ひとつのことしかアピールしない。自分が得意とするものをひとつだけ決めて、それだけを相手に伝えよう。

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最後に笑うのは「あきらめない人」

成功者に共通するのは「しつこさ」である。

「人間のなかで「もっともあきらめない人」それが起業家だと思う。行動も起こさないうちから「ダメだ」とあきらめてしまう人や、勝算だけを考えて事業を興す人は、なかなか成功はしない。」

ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワースは、25歳から65歳までの2000人以上を調査して、いったん開始したら最後までやりとげる人ほど成功者になれるというデータを報告している。ダックスワースによると、成功するかどうかを決めるのは、「才能」ではなく、「継続力」だという。

しぶとく、あきらめないからこそ幸運の女神も微笑んでくれるのである。

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