矢部正秋の「プロ弁護士の思考術」

矢部正秋の「プロ弁護士の思考術」

 
 

矢部正秋の「プロ弁護士の思考術」を読みました。

7つの章から構成されるプロ弁護士の思考術。本のタイトルにひけを取らない具体的な対処法やアドバイスがされぎっしり詰まっている一冊でした。

海外のクライアントに悩まされることが多いなか、本書が与えてくれた様々な「気付き」はとても有り難かったです。

メモを読んで興味がわいた人は、手に取って読んでくださいね。

以下、僕の中で「引っかかり」のあったコトバです。

 

 

プロ弁護士の思考術を大きく7項目に整理すると以下の通り

 1)具体的に考える「話の根拠を選りすぐる」
 2)オプションを発想する「考えもしなかったことを」考える
 3)直視する「疑うことで心を自由にする」
 4)共感する「他人の正義を認めつつ制する」
 5)まさかを取り込む「不運に対して合理的に備える」
 6)主体的に考える「考える力」と「戦う力」を固く結ぶ
 7)遠くをみる「教の実りを未来の庭に植える」

 
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具体的に考えるということは、曖昧を排除していくこと。

様々な概念を結合して判断し、推理することをいう。
思考する能力は、知性、理性と呼ばれ感情や意思とは区別される。

われわれが「考え」と称するものの多くは、
漠然としたアイディアや雑念にすぎない。

アイディアなどは誰でも浮かぶものである。
具体案を発想することこそ難しい。
考えることは人間の本性の自然な発露ではなく、
むしろ反する行為なのである。

考えるためには、精神の飛躍が必要である。

 
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日本流の契約書は一般に極めて短く、
いわば取引の大枠にすぎない条項しか盛られていない。

「双方協議して定める」「相互に協議する」「互譲の精神で解決する」
旨の記載がある契約書を、日本人は特段不思議とも思わない。

このような曖昧な日本流の契約は、相手が完全に信用できる場合でないと無意味である。

 
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米国流の(ライセンス契約)では、ライセンスする特許の番号、
ライセンス地域、ロイヤリティーの額、ライセンス期間に続き、
つぎのようなこまかい条項が続く。

 1)対称製品の製造数、販売するの報告義務
 2)ライセンシーの営業所への立ち入り調査権
 3)ロイヤリティー報告に虚偽があった場合のペナルティー
 4)ロイヤリティーを送金する場合の為替の換算法
 5)当事者間に争いがあった場合の管轄裁判所
 6)英文契約書と翻訳文に齟齬があった場合に英文を正文とする旨の定め

 
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手順を考えることは理性で考えること

人間は一般に、理性より感情に基づいて行動する。
感情は具体的思考となじまない。

従って、具体的な手順を考えることは、
理性の入口に立っているということである。

感情は具体的に物事を考えることで整理される。
具体的に考えると、現実的になる。

精神論のような粗雑な思考が入り込む余地がない。

 
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イエス・ノー思考を頭に居着かせない。

世間は短絡的で、単純を好む。単純化の最悪が「ヒトラーの二分法」である。
二分法は、デマゴーグが大衆を操作し、反対社を排除・粛正するために、
歴史的にも繰り返し使われてきた。

敵か味方か。右か左か。白か黒か。善か悪か。改革か抵抗か。
物事を二者択一の、いずれかに分類してしまう。

二分法は人間の本能に強烈に訴えるので、俗受けがしやすい。

大衆にアピールしやすいため、あらゆる世界において、
あらゆる人間が陥る病理現象である。

 
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オプションを発想する −ひらめかない時の処方箋 -感情の縛りを解く方法

人は困難に直面すると、他人を責めるか、自分を責めるか、運命を呪うかのいずれかである。

大切なのは、他人を責めることでなく、自分を責めることでもない。
多数のオプションを発想することに意識を集中することである。

オプションを考える際に最も大切なのは、組織的、体系的に発想することである。

 1)極端なオプションから現実的なオプションまで、
   網羅的に多くのオプションを出す

 2)常識も価値観も一度は捨てて、極端なオプションも発想する

 3)自然に頭に浮かんだ対応策だけでなく、
   上下左右のあらゆる角度から考える

問題に成功裡に対処するには、この手順を踏んだ上で、優先順位をつけ、
対策を実行することが必要である。

 
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共感する「他人の正義を認めつつ制する」

自分の意見も多くの意見の一つに過ぎず、
「正しい意見」とはいえない。

そう自覚するのは、自信がないからではない。
いや、自分の考えに自信を持っているからこそ、
他人の意見に耳を貸すことができるのである。

自信のない人ほど、他人をあしざまに非難したり、
自分が正しいと声高に叫んだりするものである。

 
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遠くをみる「教の実りを未来の庭に植える」

転機は3ヶ月ごとに訪れる。
事件でも同様である。
私の経験からいうと、おおむね3ヶ月、6ヶ月が転機となることが多い。

最初の3ヶ月以内に決着できないと、紛争は長期化する。
さらに、その後3ヶ月(合計6ヶ月)をへても解決しない紛争は、
泥沼化する危険性が高い。

だから、3ヶ月後を見通すことが大切である。
「今ここで妥協しなければ3ヶ月後にはどうなるか」を考える。
紛争が長期化、泥沼化した場合の不利益をあらかじめ考えておく事が有益である。
 

 

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*企画は身体性。良質な企画は世の中を変える。
*良きインプットが良きアウトプットを作る。

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