ドローンを10年飛ばしてみたら GoProはドローンから撤退しDJIはアクションカメラを出していた
ドローンクリエイティブ研究所|研究室ノート(R&D Notes)#002
※情報は執筆時点(2026年9月)のものです。制度改正や誤りの可能性があるため、手続き前に公式情報でご確認ください。内容に誤りがあれば、ご一報ください。修正いたします。

2026年7月14日、ドローンを飛ばしてはいけない範囲が広がった。
小型無人機等飛行禁止法の改正で、国会議事堂、首相官邸、防衛関係の施設、空港、原子力事業所など、全国485の対象施設の周りで、おおむね300mだった周辺地域が、おおむね1,000mになった[1][2]。周辺地域での飛行は、これまで命令に違反した場合に限って罰せられていたが、改正後は、同意や通報の手続きを踏まずに飛ばしたこと自体が、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になる[1]。この法律は機体の重さを問わないので、100g未満の機体も含まれる[3]。
飛ばす前に確かめることが、また1つ増えた。
この法律は、2015年4月に首相官邸の屋上にドローンが落ちていた一件などを受けて、翌2016年につくられた[3][4]。
2015年は、私が初めてドローンを買った年でもある。
それから10年あまりで、何が、どの順番で変わってきたのか。2015年8月から2019年5月までDRONE.jpに書いていた「ハワイドローン観光案内」Vol.01〜Vol.39と、この10年を1本にまとめた映像で振り返ってみる。映像には、2015年に買った機体とコントローラーの実物も映っている。
2015年 ハワイの芝生で飛ばしはじめた
2015年8月20日、DRONE.jpに私の最初の記事が載った。タイトルは「ハワイでドローンはじめました。」。
当時の私はハワイに住むクリエイティブ・ディレクターで、移住して3年が経とうとしていた。ハワイにはクリエイティブの仕事が少なかった。ハワイならではの仕事がどこにあるのかを探し続けて、行き着いたのがドローンだった。
実物を初めて見たのは、一時帰国していた日本だ。友人に見せてもらったParrot社のBebop Drone。目の前でホバリングする姿を見て、これは未来だと肌で感じた。ハワイに戻ってからも忘れられず、清水の舞台から飛び降りるつもりで買った。
その第1回に、私はこう書いている。
「果たして、ハワイでドローン撮影をしていれば、クリエイティブの仕事に繋がっていくのだろうか?」
初飛行は、サンディービーチの前にある広い芝生の広場。リモコンにiPhoneを取り付け、芝生に機体をそっと置き、少し離れてスイッチを入れる。浮き上がった瞬間の音と、手元のiPhoneに映る映像に興奮して、右へ左へ動かしてみた。頭に思い描いていたカメラアクションは、当然できなかった。
Bebopは、いまの機体と比べると安定せず、風の強い日はすぐに流された。機体をなくす人もそれなりにいて、私もその一人になりかけた。

飛ばすための規制も、周りの空気も、まだそれほど厳しくなかったと記憶している。
同じ年の12月 日本の航空法が変わった
第1回が載った約4か月後、2015年12月10日に改正航空法が施行された。無人航空機を飛ばす場所と飛ばし方にルールができ、場合によっては国の許可や承認が要るようになった。対象は、機体本体とバッテリーを合わせて200g以上の機体だった。翌2016年3月には、冒頭の小型無人機等飛行禁止法が成立する[3]。
施行の直前まで私が書いていたのは、テスト飛行3回目で海の上へ流された「今までにない最大のピンチ」や、4回目でモーターのエラーが出た「エンジントラブル」の話だ。
アメリカでも、ルールは整っていった。2017年3月のVol.20では、ハワイで趣味として飛ばす場合でもFAA(米連邦航空局)への登録が必要で、250g未満の機体は登録がいらないことを書いている。
機体は小さく軽くなっていった
2016年の終わりから2018年にかけて、私の記事は機体の話が多くなる。
Bebopのコントローラーは、いま見るとありえない大きさだった。

2016年9月27日には、DJIがMavic Proを発表した[5]。アームとプロペラを折りたたんで、バックパックに入れて持ち運べる機体だ。私もVol.18で紹介し、Vol.19で「構造上の問題とジンバルの初期設定」について書いた。
同じ年の10月13日には、Zero Zero Robotics社のHover Camera Passportが米国で出荷を始めた。重さは242g。出荷の発表には、FAAが趣味の機体に登録を求める250gを下回る、と書かれていた[6]。プロペラがカーボンの枠に覆われていて、指が入り込まないつくりだった。どこにでも持ち歩いて、さっと出して飛ばせる。私はこの機体に魅了されてVol.16で取り上げ、いろいろなところで人に見せた。

メーカーが軽量化を進めたのには、規制を避けたいという事情もあったと私は見ている。航空法の対象になるか、FAAへの登録が要るかは、機体の重さで決まるからだ。
飛ばすだけでなく、配信もやってみた。2017年には茅ヶ崎の波の様子を上空からライブで配信していて、これが結構な人気になった。Vol.24とVol.25にその記録がある。

2018年に入ると、記事はさらに小さな機体に移っていく。Vol.32でTello、Vol.33でトイドローンの小型化と静音化、Vol.35でマイクロドローンを取り上げた。プログラミングできる教育用の機体、レース用のFPV、子どものおもちゃ。ネタが豊富で、ワクワクした時代だった。
GoProがドローンから撤退し DJIがアクションカメラに入ってきた
機体の性能が上がるのと並行して、メーカーどうしの勝負もついていった。
DJIはPhantomシリーズで広く知られるようになり、新しい機体を世界の人気YouTuberに届けていった。Mavic Proを紹介したケイシー・ナイスタットは、動画の中で、DJIからお金は受け取っていないと話している[7]。YouTubeがメディアとして伸びていた時期に、この広げ方はよく効いた。
2017年6月のVol.22「続・ハワイでドローンを飛ばす~実践編とこの1ヶ月のトピックス」では、DJIがSparkを発表した日に、そのYouTuberたちが一斉にテスト映像を公開したことに驚いて、PRの段取りについて書いている。
対抗したアメリカのGoProは、2016年10月23日からKarmaを販売したが、飛行中に電源が落ちる事例があり、11月8日に購入済みの約2,500台のリコールを発表した[8]。2018年1月8日には、ドローン事業からの撤退を明らかにしている[9]。Vol.22の回では、私もKarmaを実際に飛ばしている。GoProには期待していたので、残念だった。
逆にDJIは、2019年5月15日にOsmo Actionを発表し、GoProが得意としてきたアクションカメラの市場に入っていった[10]。
飛ばす前の手続きが増えていった
機体そのものは、よく飛ぶようになった。障害物をセンサーで避け、被写体を追いかけて撮り、複数の衛星で位置を保つ。私の感覚では、よほどのことがない限り、機体が落ちたり見失ったりすることはなくなった。私もMavic Proなどを使って、映画のワンシーンやドラマの撮影に入らせてもらった。
その一方で、日本では場所や飛ばし方によって、国土交通省のDIPSで、機体や飛行の目的、場所を申請することになった。2022年6月20日からは100g以上の機体の登録が義務になり、原則としてリモートIDの搭載も求められるようになった[11][12]。同じ年の12月5日には改正航空法が施行され、無人航空機操縦者技能証明、いわゆる国家資格の制度が始まった[13]。新しく始める人には、入りにくい分野になりはじめていた。
それでも、仕事の現場はしばらく変わらなかった。民間の技能認証を持っていれば、許可や承認の申請で書類の一部を省略できたからだ。私も、過去に取った包括許可と飛行記録で、仕事の撮影は回せていた。
2025年12月18日 書類の省略が終わった
2025年12月18日、改正された「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」が施行され、ホームページに掲載された講習団体などの技能認証を根拠に、申請の一部を省略する運用が廃止された[14]。操縦者の書類を省略できるのは、国家資格を持つ人に限られた。
飛ばすこと自体は、これまでどおりできる。ただ私には、国家資格を持っていなければこの先は何もできない、と言われたように聞こえた。
技術の発展と規制の強化の関係は、この10年を見れば一目瞭然だ。それでも、何か面白いことをやりたいなら資格を取れ、というのが日本なのであれば、それに従うしかない。

それで、52歳で取りに行くことにした。勉強は嫌いで、暗記ものにはまったく自信がない。それでも、10年以上続けてきたドローンをここで絶やしたくなかった。
実地講習と修了審査、学科試験、身体検査、DIPSでの申請。その経過は、DRONE.jpの連載「長澤宏樹のドローン国家資格取得への道」のVol.01、Vol.02、Vol.03に書いた。Vol.03の時点ではまだ届いていなかった技能証明のカードも、何度かあきらめかけた末に届いた。
10年を並べて見えた順番
私が見てきた10年は、機体とその使われ方が先に動いて、ルールがあとから来る順番だった。
ルールが変わるたびに、その範囲の中でいろいろなことをやってきた。
今年の夏も使われ方が先に動いていた
2026年8月1日、地元の茅ヶ崎で「サザンビーチちがさき花火大会」を見た。終わったのかなと歩き出したところで、光の筋が夜空に上がり、ドローンがメッセージを描いた。最後に浮かんだのは、QRコードだった。

キリンビールの「晴れ風ACTION 未来につなぐ希望の花火 2026」という企画の一部で、同じ夜にはドローンの空撮でライブ中継もしていた。視聴数に応じた金額が、全国各地の花火大会の支援活動に寄付される仕組みだ[15]。この夜のドローンには、中継の映像を撮る役と、夜空にメッセージとQRコードを描く役があった。
私もその場でスマホをかざしてみたが、距離のせいか、読み取れなかった。
新しい使い方が先に試されていて、うまくいかないところもまだある。この10年と同じ順番だと思う。
次の10年も使い方から考える
2026年6月末に「ドローンクリエイティブ研究所」を立ち上げた。国家資格を持った実務家や映像のプロ、マーケターなど、ドローンのまわりで仕事をしている人たちに声をかけて、少しずつ集まりはじめている。

研究所でも、考える順番は同じにしている。
まず、ドローンで何ができるかを考える。撮るだけでなく、花火大会の夜のように、空にメッセージやQRコードを描く使い方まで含めて考える。見つけた事例は研究室ノートに記録していて、花火大会の夜のことも「花火大会の最後に、QRコードが浮かんだ」に詳しく書いている。
次に、その使い方がどのルールに当たり、誰なら飛ばせるのかを確かめる。確かめるのは、企画の段階だ。許可や承認が要る飛行なら、国土交通省は、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに申請を出し、3〜4週間ほど余裕を持つよう求めている[14]。撮影の日が近づいてから気づいても、間に合わないことがある。
自分ひとりで賄えないところは、資格を持った仲間やプロのチームと組む。
飛ばす前に確かめることは、たぶんこれからも増えていく。7月14日に広がった周辺地域の場所は、警察庁の小型無人機等飛行禁止法のページから確かめられる。飛ばす前に、一度見ておいてほしい。
ドローンで何か面白いことをやろうとしている人が集まれる場所にしていきたいと思っている。やってみたい使い方があれば、まだ形になっていない段階でも声をかけてほしい。
研究所の活動と、これまでの撮影の仕事は、こちらにまとめている。
ドローンクリエイティブ研究所
ドローンと、まだない仕事を創る。
ここはドローンで何ができるかを考え続けながら、実際の仕事も動かしていく場所。
ドローンに可能性を感じる人、新しいビジネスを描く人、前向きな仲間を募集中。
よくある質問
Q. 2026年7月14日の小型無人機等飛行禁止法の改正で、何が変わりましたか?
A. 国会議事堂、首相官邸、防衛関係の施設、空港、原子力事業所など、全国485の対象施設の周辺地域が、おおむね300mからおおむね1,000mに広がりました。周辺地域で同意や通報の手続きを踏まずに飛ばすこと自体が、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になります。機体の重さを問わないため、100g未満の機体も含まれます。
Q. 2025年12月18日の審査要領の改正で、何が変わりましたか?
A. ホームページに掲載された講習団体などの技能認証を根拠に、飛行の許可・承認申請の一部を省略する運用が廃止されました。操縦者の書類を省略できるのは、国家資格(無人航空機操縦者技能証明)を持つ人に限られます。
Q. ドローンの飛行の許可・承認は、いつまでに申請すればよいですか?
A. 国土交通省は、飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前(土日・祝日を除く)までに申請書類を出し、不備に備えて3〜4週間程度の余裕をもって申請するよう案内しています。
Q. ドローンクリエイティブ研究所には、どんな相談ができますか?
A. ドローンで何ができるかを考える研究と、実際の仕事の両方に対応しています。ブランディング映像、企業VP、観光プロモーション、PR動画、産業点検やインフラ・建築の空撮などです。「こういう使い方はできないか」という構想の段階の相談も受け付けています。
公式情報
- 警察庁「小型無人機等飛行禁止法関係」(対象施設と周辺地域の確認・通報の手続き) https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html
- 国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html
- 国土交通省「小型無人機等飛行禁止法に基づき小型無人機等の飛行が禁止される空港の指定」 https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk2_000023.html
- DIPS 2.0(ドローン情報基盤システム) https://www.ossportal.dips.mlit.go.jp/portal/top/
出典
[1] 警察庁「令和8年の小型無人機等飛行禁止法改正内容」(PDF・周辺地域おおむね300m→1,000m、周辺地域の飛行への罰則) https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/pdf/r8_kaisei.pdf
[2] 警察庁「小型無人機等飛行禁止法に関する警察からのお知らせ」(令和8年6月24日公布・7月14日施行、現に対象施設とされている485施設の告示) https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/kouhou.html
[3] 内閣府「平成28年交通安全白書(概要)無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の安全な飛行に向けて!」(平成27年12月10日改正航空法施行・200g以上が対象/平成28年3月17日小型無人機等飛行禁止法成立・周囲おおむね300m・機体の重量は関係なし) https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h28kou_haku/gaiyo/topics/topic12.html
[4] 日本経済新聞「首相官邸にドローン落下 けが人はなし」(2015年4月22日) https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG22H5G_S5A420C1CC0000/
[5] DRONELIFE「DJI’s New Drone is Here – Introducing the Mavic Pro」(2016年9月27日) https://dronelife.com/2016/09/27/djis-new-drone-mavic-pro/
[6] PR Newswire「Zero Zero Robotics Announces the Highly Anticipated Shipping Launch of the Hover Camera Passport」(2016年10月13日) https://www.prnewswire.com/news-releases/zero-zero-robotics-announces-the-highly-anticipated-shipping-launch-of-the-hover-camera-passport-300343443.html
[7] mediakix「How DJI Works With YouTube Stars To Market Its New Drones」(Internet Archive保存版) https://web.archive.org/web/2019/https://mediakix.com/blog/how-dji-markets-with-top-youtubers-for-drone-release/
[8] GoPro「GoPro Announces Karma Recall and Refund Program」(2016年11月8日) https://investor.gopro.com/press-releases/press-release-details/2016/GoPro-Announces-Karma-Recall-and-Refund-Program/default.aspx
[9] TechCrunch「GoPro confirms layoffs, exit from drone business」(2018年1月8日) https://techcrunch.com/2018/01/08/gopro-confirms-layoffs-exit-from-drone-business/
[10] PetaPixel「DJI Unveils the Osmo Action Camera to Rival GoPro」(2019年5月15日) https://petapixel.com/2019/05/15/dji-unveils-the-osmo-action-camera-to-rival-the-gopro-hero/
[11] 国土交通省「無人航空機登録ポータルサイト」(2022年6月20日登録義務化・100g以上が対象) https://www.mlit.go.jp/koku/drone/
[12] DRONE.jp「ドローン機体登録、義務化へ。無人航空機登録ポータルサイト登場」(2021年11月26日) https://www.drone.jp/news/2021112611004449411.html
[13] 国土交通省「無人航空機操縦者技能証明等」(令和4年12月5日の改正航空法施行) https://www.mlit.go.jp/koku/license.html
[14] 国土交通省「無人航空機の飛行許可・承認手続」(2025年12月15日 審査要領の改正公布・12月18日施行/申請は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前、3〜4週間程度の余裕をもって) https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html
[15] PR TIMES キリンビール「晴れ風ACTION 未来につなぐ希望の花火 2026」実施決定(2026年7月1日・8月1日 第52回サザンビーチちがさき花火大会/ドローン空撮のライブ中継・視聴数に応じて寄付・ドローンショー) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000138083.html
著者プロフィール
長澤宏樹(ながさわ・ひろき)
クリエイティブ・ディレクター/アロハ・ブランディング代表。映像制作・ブランディングを軸に活動。2015年からドローン運用を開始し、DRONE.jpで「ハワイドローン観光案内」Vol.01〜Vol.39(2015〜2019年)を執筆。2025年12月の審査要領改正を機に、52歳でドローン国家資格2等を取得し、その過程をDRONE.jpの連載「長澤宏樹のドローン国家資格取得への道」Vol.01〜Vol.03に記録。2026年6月、ドローンクリエイティブ研究所を立ち上げ。著書に『アイデアを「カタチ」にする技術』(総合法令出版)、共著に『パーパス戦略のための出版マーケティング パブリッシング ブランディング』(ぱる出版)。

