実績に3行の解説を足すと、次の仕事につながる|超翻訳第20回
Aloha Branding 代表の長澤宏樹です。
本日、連載「超翻訳 ── 伝えたいを、伝わるカタチに。」の第20本を note で公開しました。

実績を全部見せても何屋さんですかと聞かれる
自社の説明で、これまでの仕事を見せる場面がある。サイトの実績ページ、提案書の後半、会社案内の見開き。数はある。名前の知られた会社も並んでいる。
それでも、ひととおり見終わったあとに、こう聞かれる。
「で、御社はどういうのが得意なんですか」
全部見せたのに、何も伝わっていない。こういうことってないですか。
足りないのは、実績の数ではない。並んではいるけれど、相手が自分の番を想像できていない。要るのは、相手が「自分の場合はこうなる」と想像できる形だ。
むずかしいのは実績に何を書き添えるか
過去に書いた本で、仕事の成果の扱い方について、こう書いている。
「一つひとつの仕事が完成した時点で、クライアントの許可を取って、成果物として公表していくのです」
仕上がりについては、こう続けた。
「制作したものが100%の出来栄えでなくても、考えすぎることはありません。そのときの自分のベストなアウトプットですから、胸を張って周囲に共有すればいいのです」
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実績を出すこと自体は、そんなにむずかしくない。むずかしいのは、そこに何を書き添えるかだ。実績は、置いてあるだけでは実績にならない。
ちなみに、手元にあるものを全部出してみる作業については、前に一度書いてあるので、ぜひ前回のnoteも一緒に読んでほしい。
実績が出せないのではなく、まだ棚卸しをしていないだけ|超翻訳第17本
実績に一件ごとの解説を加える
実績を作品として並べる。ロゴが並び、動画が並び、サイトの画面が並ぶ。きれいに見える。
ただ、そこから伝わるのは、この会社はきれいに作ることができる、ということまでだ。相手が知りたいのは、自分が依頼した時はどうなるのか?だ。
だから一件ごとに解説を加える。どのような課題に対して、どのようなソリューションを提案し、結果、なぜこのアウトプットになったのか。画像を一点増やすより、この解説が効く。
ここで書くのは、業界で一番だとか、この地域で唯一だとか、そういう話ではない。その案件で、自分たちにしか提供できないソリューションをどう出したのか。どのように今のアウトプットを導きだしのか、これが重要だ。そこまで書いてはじめて、依頼主が知りたい解説となる。
ちなみに、その際の注意点としては、その解説に業界の中でしか通じない言葉が混ざっていないか。そこだけは気をつけておきたい。
書いていくと課題が逆算で見えてくる
ふだんの仕事は、課題を聞いて、企画を立てて、提案する、という順番で進む。実績に解説を加える作業は、その逆をたどる。出来上がったものから、あの仕事は何を解いていたのかを改めて逆算する作業といえよう。
逆から一度たどると、課題の輪郭が、やっているときよりはっきりする。やればやるほど、この作業も慣れてくる。課題からアウトプットまでの方程式が、リアルに見えてくる。
方程式が溜まってくると、まだやったことのない相談にも、同じ筋道で答えられるようになる。
実績をまとめるのは復習であり、次の案件への予習でもある。
実績が少ないうちは他社の案件で素振りする
それができないうちは、他の案件をたくさん見て素振りをするのみだ。他社のつくったクリエイティブを因数分解してみる。何を解こうとしていたのか、何を選んで、何を捨てたのか。
分解したものを実際外へと開示出すかどうかは、その人次第で良いのだが、私はこれを積極的に出すことにしてきた。クリエイティブチェックとして、他社の広告や施策を一本ずつ取り上げて、長年Blogなどの記事に書いてきた。
人に読まれる前提で書くと、なんとなく分かったところでは終われない。どの課題に、どのソリューションで答えて、だからこのアウトプットになったのか。そこまで言葉にしないと記事にならない。書いているうちに、自分の中に方程式のストックが溜まっていった。
いまは相談を受けたときに、似た実例を出して、なぜそれが効いたのか、ときにはなぜ効かなかったのかを順を追って説明できる。
これはクリエイティブに限った話ではない。料理でも、将棋でも、釣りでも同じだ。よくできた一皿も、勝った一局も、釣れた一匹も、なぜそうなったのかは分解できる。仕事の外でも、素振りはできる。
実績を一件選んで解説を加えてみる
むずかしいことは、しなくていい。
実績ページでも、提案書の後半でも、名刺交換のあとに送るメールでもいい。まず一件だけ選んでみてほしい。
その一件に解説を加える。どのような課題に対して、どのようなソリューションを提案し、結果、なぜこのアウトプットになったのか。三行で足りる。書けなかったとしたら、実績が弱いのではなく、まだ言葉にしていないだけのことが多い。当時の課題は、担当者に聞けば出てくる。
同じ成果物を見ても、読み取ることは人によって違う。仕事を頼む側は、その読み取り方が自分と近い人か、自分にはない見方をくれる人に頼みたがる。解説は、実績の説明であると同時に、こちらの読み取り方そのものになる。
相手は、きれいに作れる人を探しているわけではない。自分の番に何が起きるかを知りたがっている。
そこが見えたとき、実績ははじめて次の仕事を連れてくる。
あなたのブランドは、ちゃんと「伝わって」いますか。「伝えているのに、伝わっていない」と感じるなら、その理由を、一緒に見つけます。
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