専門用語の言い換えで、ブランドは伝わりはじめる|超翻訳第19回
Aloha Branding 代表の長澤宏樹です。
本日、連載「超翻訳 ── 伝えたいを、伝わるカタチに。」の第19本を note で公開しました。

相手が、静かにうなずき始める
自社のサービスを説明していると、途中から、相手のうなずきが静かになることがある。
さっきまで質問が出ていたのに、出なくなる。目は合っている。相槌もある。だが、何も聞かれない。
説明を終えると、相手はこう言う。「わかりました。社内で検討します」。
その後、連絡は来ない。
うなずきが静かになったあの時間、相手の中で起きていたのは、納得ではない。わからない言葉を聞き流す作業だ。
「う、うーん」という独特のうなずきに変わっていたら、見逃してはいけない。人は、わからない言葉が続くと、質問するより先に、聞くのをやめる。
わかりやすいか、覚えやすいか
過去に書いた本で、ネーミングのつくり方について、こう書いている。
「ネーミングとは、コンセプトを一言二言で言い換えるとどんなフレーズになるかを考える作業です」
そして、初心者ほどここに重点を置くようにと続けた。
「情報を受け取る相手のことや、わかりやすいか、覚えやすいか、に重点を置いて考えていく」
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おしゃれな言い回しでも、正確な業界用語でもなく、わかりやすいか、覚えやすいか。この二つを決めるのは、書いた側ではない。
受け取る相手の頭の中に、その言葉がすでにあるかどうかで決まる。
相手の頭にない言葉は、どれだけ正確でも、素通りしていく。
専門用語も、数字も、置き換えられる
たとえば「DXを推進し、業務を最適化します」。業界の中では、正確な言い方だ。だが、外の人の頭の中に、この言葉はない。「お店の面倒な作業を、スマホで楽にします」。言っていることは同じだ。面倒な作業も、スマホも、誰の頭の中にもある。
数字も同じだ。「顧客満足度98%」は、正確だが、頭に残らない。「10人中9人が、もう一度選びました」。同じ数字が、人の姿になる。
どちらの言い換えも、内容を薄めていない。難しいことを、簡単なことにしたのではない。相手の頭の中にすでにある言葉へ置き換えただけだ。
置き換えの手間を省いて、正確な言葉のまま出すこともできる。ただしその場合、翻訳の作業は消えるのではない。相手の側に移る。そして相手は、たいてい、翻訳してまで聞いてはくれない。
カタカナ語を一つ、生活の言葉に置き換えてみる
むずかしいことは、しなくていい。
自社の説明から、カタカナ語か専門用語を、一つだけ選んでみてほしい。会社案内でも、ホームページの一行目でも、口癖になっている言い回しでもいい。
それを、小学生に通じる言葉で言い直してみる。小学生に見せるためではない。小学生に通じる言葉は、業界の外のすべての大人に通じるからだ。それでも思いつかない場合は、AIに投げかけてみてほしい。
言い直したものが、少し長くなっても構わない。短くて通じない一言より、長くて伝わる一文のほうが、仕事は前に進む。
うなずきが静かになる前に、こちらが先に訳しておく。そのちょっとした手間で、「伝わらない」が「伝わる」に変わることがある。ぜひ、試してみてほしい。
あなたのブランドは、ちゃんと「伝わって」いますか。「伝えているのに、伝わっていない」と感じるなら、その理由を、一緒に見つけます。
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